高齢者と食事と肺炎 | ABCDEで覚える大切なこと

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こんにちは。
いつもブログを見て頂きありがとうございます。

当記事では「高齢者と肺炎と食事」について書いています。

過去記事でも肺炎について書いてますが、今回は注意すべき点を簡単にまとめています。

それでは深掘りしていきましょう。

目次

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高齢者と食事と肺炎 | ABCDEで覚える大切なこと

語呂合わせのようにAからEまでございますので順番に解説します。

Acute problem(急性の問題)

食事に関する急性の問題としてはやはり誤嚥性肺炎や窒息です。

必ずしも抗菌薬治療は必須ではく、口腔内雑菌の除去や飲み込みのリハビリで改善していくものです。

特に口腔内衛生が不良な状態では症状の悪化が考慮されるため、熱心に口腔ケア(歯科の介入)が必要です。

本人も気がつかなかった心不全や、慢性閉塞性肺疾患のコントロールについても口腔内の状態を改善することで誤嚥が減るとも言われています。

Best position / Best meal form(姿勢と食事形態)

  • 最も誤嚥しにくいポジションで
  • 最も誤嚥しにくい食事形態で
  • 可能な限り速やかに食事をすることが大切

肺炎後に48時間以内に経口摂取を開始する方が嚥下機能の低下を防ぎ、より短い治療期間とすることができるからです。

肺炎と言えば絶食にする事もありますが、入院時より言語聴覚士(ST)による職下評価と、歯科衛生士による口腔ケアやリハビリ介入を行うのが理想です。

なおSTがいなくても最低限の嚥下評価は可能です。

もっとも誤嚥しにくいポジショニングに関しては個人により異なりますが、教科書的には左右対称でパランスがよく、適度に自由が効くポジションが良いと提唱されています。

これらのポジショニングを作ったうえで、水飲みテストやゼラチンゼリーによるフードテストを行います。

この際にムセや飲み込みだけでなく、酸素飽和度が低下しないかをモニターすることが有用です。

酸素飽和度については、最近はコロナの影響もあり売り切れが多いのですが、Amazonや楽天で

  • サチュレーションモニター
  • SpO2モニター

こんなワードで検索して頂ければ出てくると思います。

問題なければ最低限ゼラチンゼリーは継続することが可能で、その後状態をみながら徐々に食事形態をアップしていきます。

このような細かいリハビリやテストの手間を惜しまない、基本に忠実に一歩一歩進めば、口から食事は食べられる可能性が高まるので、食事の再開において意識レベルが良いことが重要であり、認知症へのケアが重要になります。

Care of oral:口腔ケア

口能ケアは肺炎治療において極めて重要です。

口腔ケアをすることで清潔が保たれ、口腔内の細菌量が減少するため、結果的に肺炎による死亡リスクも減少するといわれています。

これほど重要な口腔ケアでありますが、十分に実施されているとはいいがたい現状があります。

介護施設では流れ作業で、入院中は人員の不足で口腔ケアまで手が回らないことが多々あります。

自分で歯医者に通院できる方であれば、月に1回は受診した方が良いです。

高齢者にとっては口腔ケアに加えて、虫歯の治療や入れ歯の調整も行うことで、より肺炎の予防をすることが期待できます。

今後ますます医科歯科連携が重要になってくると言われており、口腔ケアの重要性も認識しなければなりません。

Drug:薬

薬の調整も肺炎の予後を改善するためには必要です。

高齢者は色んな病気があります。

副作用でぼーっとなる薬や、睡眠薬などを常用していると、認知機能の低下が早くなってしまうので注意が必要です。

具体的には

  • 抗精神薬
  • 抗不安薬
  • 睡眠薬
  • 抗けいれん薬
  • 抗うつ薬

これらがあげられます。

とくに介護施設でよくありがちなのは、騒いでしまって介護に支障が出る場合に、気持ちを落ち着かせる薬を使用することがあります。

その薬により活気がなくなり、嚥下障害を起こす頻度が高くなります。

介護のしやすさを優先するのか、肺炎のリスクや本人の意思を優先するのかは難しい問題ですが、最終的には本人・家族・介護施設のルールなども考慮して譲歩する必要があります。

Disorder of neuro:神経障害

肺炎や嚥下機能の低下を認めた場合は、神経疾患が背景にあるかを常に考える必要があります。

たとえば、アルツハイマー型認知症の終末期で嚥下が困難で看取り方向といわれた高齢者であっても、実際には別の病気が背景にあることがあります。

その場合は神経症状の改善を優先すると改善することもあります。

またパーキンソン症候群などの場合も、薬剤の調整で食事が摂りやすくなったり、肺炎のリスクが低下したりもします。

Dementia / Delirium:認知症とせん妄

70歳以上の高齢者には程度は様々ですが認知症とせん妄の症状があります。

これに関しては、デイサービスなどで外部の刺激をいれる事や、生活リズムを整えること、レクリエーションをすること、日中はできるだけリハビリをすること、ベッドではなく車椅子で生活する事で認知機能の進行を緩やかにすることが出来ます。

なるべく自然環境にすることが大切で、不要な心電図モニターや原道カテーテルなど医療機器を抜去することなども必要です。

せん妄が見られたときは、抗精神薬の使用を疑いましょう。

可能な限り少量にとどめる事が好まれますが、介護環境により慎重に選択しましょう。

なお認知症に伴う意欲の低下や傾眠傾向などでは、なるべく普段の生活リズムを整えて経口摂取が可能になることが理想です。

Exercise:運動

肺炎の後の体力の低下を改善するうえで大切なのはリハビリテーションです。

入院中であれば、言語聴覚士(ST)や理学療法(PT)を入院3日以内に開始すると有意に体力が改善するという報告もあります。

特に誤嚥性肺炎の場合は、体力の低下が問題になることが多いので、リハビリ職の介入が必須だと考えられます。

喉だけで行うものではなくて、体全体を使って行うものが大事だと思われます。

もちろん言語聴覚士による介入は有用で、嚥下リハビリテーションを開始すると、治療期間の短縮と嚥下機能の維持が期待できます。

肺炎での入院とは言え、安静にするだけでなく、常に状態を見直すことで廃用症候群(虚弱や体力の衰え)を防ぐ事が出来ます。

Energy:エネルギー

低栄養状態でリハビリテーションを行ってもむしろ栄養状態が悪化するリスクがあります。

低栄養と嚥下機能の低下には密接な関係があるため、嚥下機能の改善には栄養状態の改善が不可欠であると考えられます。

高齢者が誤嚥性肺炎を発症した際に、安易に絶飲食や安静を指示され、さらに維持には程遠い少量のカロリーしか投与されない場合、筋肉量の減少、つまりサルコペニアが進行し、さらには喉の筋力低下が進行し嚥下機能障害が悪化します。

サルコペニアによる嚥下機能障害には、早期の経口摂取と嚥下リハビリテーションが重要です。

また、経口摂取が安定するまでは、アミノ酸入りの点滴や脂肪製剤を投与して最低限のカロリーを確保し、筋内量の減少を防ぐ必要があります。

なお経口摂取が可能な場合は、エンシュアやラコールなどの補助食品の使用をした方がよいです。

Ethical:倫理・道徳

頑張って治療やリハビリをしても、やはり肺炎が改善しなかったり、嚥下機能が改善しない場合があります。

厳しい判断をせざるを得ないときがやってきます。

  • 今後の方針の確認をいつ行うか?
  • いつまでリハビリテーションを継続すべきか?
  • 胃ろうにするか?
  • 抗菌薬治療をいつまですべきか?

など悩ましい問題が付きまといます。

原則として本人の意思を最大限尊重するべきですが、判断が出来ない場合は多職種からなる医療のチームで方針を決定することが重要です。

本人の意思が確認できない場合は、家族など代理意思決定者が本人の意思を推定する必要があります。

誤嚥性肺炎は、呼吸困難や痛みがあれば、強い痛み止めなども適応になるので緩和をする事が出来ます。

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まとめ

肺炎の場合、安易に経口摂取は不可能であると言うべきではありません。

経口摂取が不可能であるという判断は、上記のABCDEの確認をすべて行った後に考えるべきです。

本当にやるべきことは全部やってくれたのであろうか?と常に自問することが大切です。

そして本当に終末期で食べれない状態であったとしても、最期の限られた時間のQOLを高めるために少しでもできることはないかと自問することもまた必要です。

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