こんにちは。
いつもブログを見て頂きありがとうございます。
当記事では「誤嚥性肺炎の歴史」について深掘りしていきます。
日本人の死亡原因は
- 悪性新生物
- 心疾患
- 老衰
- 脳血管疾患
- 肺炎
このようになっており、第5位の肺炎のなかでも最近は「誤嚥性肺炎」が多く見受けられます。
目次
日本人の死因第5位「肺炎」誤嚥性肺炎とは?【肺炎の歴史】
そもそも誤嚥性肺炎とはどのような肺炎なのでしょうか?
誤嚥と肺炎
誤嚥というのは、わかりやすく言いますと、何か飲み物を飲んだときに咳き込み「変なところに入った!」と体験した事はありますでしょうか?
その「変なとこ」というのは気管の事です。
本来胃に行くはずの飲み物が、なにかしらの原因で気管い入り、肺まで到達します。
口の中を経由した飲み物ですから、色んな細菌を含んでいます。
誤嚥性肺炎の歴史
誤嚥性肺炎という言葉は比較的最近出てきました。
しかし歴史は古く、紀元前のギリシャまで遡ります。
紀元前475年に、ギリシャの詩人が誤嚥性肺炎を繰り返して死亡したと伝えられているそうです。
これは肺炎を専門に研究している医療関係者の間で伝説として語り継がれたものらしいですが。
しかし、病気や肺炎についての詩も残しており、あながちフィクションではないのかもしれません。
大分時は流れ、正式に論文として報告され たのは1848年。
いろいろと衝撃的な内容ですね。
当時はクロロホルムによる全身麻酔が広まった直後だったため、世間の強い関心を呼ぶな出来事だったようです。
そんなことある?
と思うような症例ですが、200年近く前になるので医療がこのような歴史の積み重ねで成り立っていることを実感する症例です。
誤嚥性肺炎の原因が解明されてきた時代
1940年代と割と最近なのですが、徐々に誤嚥性肺炎の原因と報告が上がってきます。
先に書いたように、大昔は全身麻酔による合併症と考えられていました。
当時は出産の時にも全身麻酔をするシチュエーションがあったそうです。
1970年代には、アルコール依存のかたや薬物中毒の方にも誤嚥性肺炎の症状が見受けられ、麻酔ではなく意識障害や飲み込みの問題として誤嚥性肺炎が注目されるようになります。
医療の技術も格段に進歩していることで、細菌の培養などをして、現代で言うところの抗生物質の研究も始まります。
1980年代になると、飲み込みや口の中の細菌の研究が進み、特に高齢者における誤嚥性肺炎は口腔ケア(歯磨き)の重要性の概念が登場しています。
1990年代には、高齢者の摂食嚥下機能にフォーカスしたリハビリが注目され始めます。
これにより、高齢者の肺炎が少なくなったとも言われています。
肺炎治療のガイドライン
近年は肺炎治療について考え方が変わってきています。
昔は、肺炎になったら
- 絶食
- 動かない
- 抗菌薬をひたすら使う
このような治療が一般的でした
しかし最近では
- 無理しない程度に食べる
- リハビリを積極的にする
- 抗菌薬は軽度であれば使わない
全く逆の方針になっています。
生活が困難になった結果、介護施設に入ったり、最悪のケースはまた入院をせざるおえなくなる方まで出て来ます。
肺炎中に食事をすることは確かに多少のリスクはありますが、高齢者のその後の生活を考えると、飲み込みの機能のリハビリもすぐに対応した方が良いですし、薬も使いすぎると効かなくなってくるので、軽度であれば使用しない方が良いときもあります。
薬を使うのか使わないのかについては正解はなく、議論が続いているところでもありますが
- 年齢
- 他の病気
- 本人の希望
- 生活背景
など、様々な要因を考慮して意思決定をする必要があります。
2021年の誤嚥性肺炎の考え方
2021年の誤嚥性肺炎については「フレイル」「サルコペニア」という考え方が主流です。
フレイルとは
筋力の低下による虚弱のこと
サルコペニアとは
加齢による筋力の低下のこと
当記事の肺炎の件で例えると
- 加齢により筋力の低下が起きる
- 肺炎により体力(筋力)が落ちる
この繰り返しが高齢者の場合起きるので問題になっているということです。
- 入院
- 退院
- 入院
- 退院
今後の日本の高齢者医療に合致する内容だと思います。
この入退院の繰り返しで起きることは既に予想が出来ていて
- 誤嚥性肺炎
- 嚥下機能低下
- 体全身の炎症
- 筋肉の萎縮
- サルコペニア
この負のスパイラルです。
まとめ
古くは紀元前まで遡り年代順に紹介してみました。
肺炎の歴史はずいぶんと古くからあるのですが、詳細がわかってきたのは最近です。
身近な人も肺炎になるという意識を忘れずに、目の前の人と向き合って行くと良いでしょう。